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贈り物
***小説風味***

13年前の8月。神様は私に宝物を授けてくださった。

日が沈み、ようやく涼しい風が吹いてきたころ、
フッと、とある場所が気になった。
今、そこに行かないと後悔する・・・
普段滅多に人も通らない場所。もちろん民家もない。(田舎だから!)

当時、かーちゃんが長期入院中で、妹と交代制で夕飯を作っていた。
その日はたまたま妹が食事を作っており、私はぼんやりと外を眺め、
涼しい風にあたっていた。

なぜ、そんなことを思ったか分からないが、何かに引き付けられるように
その「とある場所」に向った。

いた・・・

私には、それを引き付ける何かがある。妹にはない力。

そっと抱き上げ、周りを見渡す。
他にはいないか?

・・・ひとりぼっちだった。まだ目が開いたばかりの子猫。
離乳もしていない。へその緒もまだついている。

いつも思うのだが、動物を捨てる人の気持ちは、私には理解できない。
同じ生き物。人間と同じ血、同じ構造。そして同じ命。
何度、悲しい辛い思いをしてきたことか。
一人憤ってもしかたないので、我が家へ連れて帰った。

すでに、妹とQ太郎は玄関にいる。
「神様が、Q太郎の妹を授けてくれたよ」
それ以外何も言わず、この子を我が家の一員として迎えた。

それから13年間。たいした病気もせず、今も元気だ。
ただ、歳には勝てないようで、奥歯は無くなったが。

***現実***

そんな経緯は、本猫は覚えてない。
自分は人間で、みんな優しくしてくれると思っている。
知らない人がいると興味深々で、「かまって~」と言わんばかりの
満面の笑み。
人から邪険に扱われたことなど一度もない。すごい。
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名前はピーコ。Q太郎の妹だから(私の歳がバレる・・・)
by tonjiru-tonjiru | 2005-06-09 21:43 | ├ピーコ
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